初級者
数学Ⅰ:二次関数
-
岡潔 ”数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです.行き詰まるから発見するのです”
〇関数とグラフについて
ポイント
☆各象限について
☆平行移動と対称移動
(※点についてはグラフにとれば明らかにわかるので,省略します.)
一般的に\(y=f(x)\)を平行移動するとき,\(x\)軸方向に\(p\),\(y\)軸方向に\(q\)移動させた関数は\((y-q)=f(x-p) ⇔ y=f(x-p)+q\)
グラフを描いてみればなんとなくわかる.
例:\(y=5x+2\)の時,\(x\)軸方向に3,\(y\)軸方向に4移動させた関数は\(y−4=5(x−3)\)⇔\(y=5x−11\)
また対称移動についても,一般的に\(x\)軸対称は\(y=-f(x)\),\(y\)軸対称は\(y=f(-x)\),原点対称は\(-y=f(-x)\)⇔\(y=-f(-x)\)
例:\(y=5x+2\)の時,\(x\)軸対称は\(−y=5x+2⇔y=−5x−2\),\(y\)軸対称は\(y=5(−x)+2=−5x+2\),原点対称は\(−y=5(−x)+2⇔y=5x−2\)
☆一次関数について
定義域→\(x\)の範囲,値域→\(y\)の範囲
例:\(f(x)=3x+1\)で定義域が\((−2≦x≦4)\)のとき,\(f(0)=3\cdot 0+1=1\),\(f(-1)=3\cdot(-1)+1=-2\),\(f(3a+1)=3(3a+1)+1=9a+4\) \((−1≦a≦1)\)
最大値は\(x=4\)で\(y=13\),最小値は\(x=−2\)で\(y=−5\),つまり値域は\(−5≦y≦13\)
☆二次関数とは,\(y=ax^{2}+bx+c\)で表せる関数
例:\(y=2x^{2}+3x+1\),\(y=-x^{2},y=x^{2}+4\)
☆二次関数のグラフ
1,\(y=3x^{2}\)は軸が\(y\)軸.頂点は原点.下に凸.
2,\(y=2x^{2}+3\)は軸が\(y\)軸.頂点は\((0,3)\).上に凸.(\(y=-2x^{2}\)のグラフを\(y\)軸方向に+3だけ平行移動)
3,\(y=4(x-1)^{2}\)は軸が\(x=1\).頂点は\((1,0)\).下に凸.(\(y=4x^{2}\)のグラフを\(x\)軸方向に+1だけ平行移動(※\(x\)は見た目マイナスに見えるが+である!)
4,\(y=(x-3)^{2}+1\)は軸が\(x=3\).頂点は\((3,1)\).下に凸.(\(y=x^{2}\)のグラフを\(x\)軸方向に+3,\(y\)軸方向に+1だけ平行移動)
☆二次関数の変形(平方完成)
\(y=x^{2}+4x+1\)
\((x^{2}+2\cdot 2x)+1\)
\((~)^{2}\)の形を作ること!
\(=(x+2)^{2}-3\)
グラフでいうと軸は\(x=-2\).頂点は\((−2,−3)\).下に凸.
\(y=-3x^{2}+4x+2\)
\(=-3\left(x^{2}-2\displaystyle \cdot\frac{2}{3}x\right)\)
\(=-3\left(x^{2}-2\displaystyle \cdot\frac{2}{3}x+\displaystyle \frac{2^{2}}{3^{2}}\right)+\frac{2^{2}}{3}+2\)←-3はかっこの外側!
\(-3\left(x-\displaystyle \frac{2}{3}\right)^{2}+\displaystyle \frac{10}{3}\)
グラフで言うと軸は\(x=\displaystyle \frac{2}{3}\).頂点は\(\left(\displaystyle \frac{2}{3},\frac{10}{3}\right)\).上に凸.
☆二次関数のグラフと最大値・最小値
例 \(f(x)=2x^{2}+3x+1\)で定義域が\((−2≦x≦4)\)のとき,
①式を平方完成する.
\(f(x)=2\left(x^{2}+2\displaystyle \cdot\frac{3}{4}x\right)+1=2\left(\displaystyle x^{2}+\frac{3}{4}x+\frac{9}{16}\right)-\displaystyle \frac{9}{8}+1=2\left(\displaystyle x+\frac{3}{4}\right)^{2}-\displaystyle \frac{1}{8}\)
ここでグラフをかいてみる.定義域をグラフに描けば最大値・最小値は明らか.
最大値は\(x=4\)で\(y=45\),最小値は\(-\displaystyle \frac{3}{4}\)でy=\(-\displaystyle \frac{1}{8}\),つまり値域は\(-\displaystyle \frac{1}{8}≦y≦45\)
※補足 連立3元1次方程式
問い
\(a+b+c=5\)…①
\(2a+3b+c=15\)…② から\(a,b,c\)を求めよ.
\(3a−b+2c=5\)…③
この問題を解く時は一つの文字を消して2つの文字だけにする.あとは2元1次連立方程式を解くだけ.
解答
②−2×①から \(b−c=5\)…④
③−3×①から \(−4b−c=−10\)…⑤
④−⑤から \(5b=15⇔b=3\)
④から \(c=−2\)
①から \(a=4\)
よって \((a,b,c)=(4,3,−2)\)
☆二次関数の決定
1,頂点が\((3,2)\)で点\((2,1)\)を通る二次関数は,頂点から\(y=a(x-3)^{2}+2\)とおけるので,点を代入して求めると\(a=-1\).よって\(y=-(x-3)^{2}+2=-x^{2}+6x-7\)
2,軸が\(x=4\)で二点\((3,5),(6,8)\)を通る二次関数は,軸から\(y=a(x-4)^{2}+b\)とおけるので,点を代入して整理すると,\(a+b=5\),\(4a+b=8\).連立方程式を解けば,\((a,b)=(1,4)\).よって二次関数は,\(y=(x-4)^{2}+4=x^{2}-8x+20\)
3,3点\((−1,1)(2,−6)(3,9)\)を通る二次関数は,まず\(y=ax^{2}+bx+c\)とおくと,\(a-b+c=1\),\(4a-2b+c=-6\),\(9a+3b+c=9\).これから\((a,b,c)=(−1,4,6)\)
よって二次関数は,\(y=-x^{2}+4x+6\)
4,3点\((−1,0)(3,0)(5,4)\)を通る二次関数は,まず\((−1,0),(3,0)\)から\(y=a(x+1)(x-3)\)とおけるので,点\((5,4)\)を代入して求めると,\(a=\displaystyle \frac{1}{3}\).よって\(y=\displaystyle \frac{1}{3}(x+1)(x-3)\)
☆二次関数の応用
今長さ10のひもがある.このひもで長方形をつくるとき,面積が最大になるときの面積を求めよ.
作られた長方形の面積を\(S\)として一辺の長さを\(x\)とすると,\(x\)の範囲は(定義域) \(0<x<5\)となる.この定義域のもとで面積Sは
\(S=x(5−x)=-x^{2}+5x=-\left(x-\displaystyle \frac{5}{2}\right)^{2}+\displaystyle \frac{25}{4}\)
これより最大値は\(\displaystyle \frac{5}{2}\)のときで\(\displaystyle \frac{25}{4}\)
問:\(f(x)=2x-3\)のとき,
\(f(0),f(2),f(2k+1)\)の値を求めよ.
\(f(0)=-3,f(2)=1,f(2k+1)=4k-1\)
¶二次不等式
ここは今後のために非常に重要なものになっていきます.基本的に二次関数と考えは変わりません.だいたいグラフの概形がかける程度でも大丈夫です.
○二次不等式
\(x^{2}-3x+2>0\)のように,二次式の不等式のことを二次不等式という.
例
\(x^{2}-3x+2>0\)を解く.まず,\(x^{2}-3x+2=(x-1)(x-2)\)となる.グラフを考えると,\(y\)が正の部分になっているのは,\(x<1,x>2\)である.
\(-x^{2}+4x-3\geqq 0\)を解く.まず,両辺に−1をかけて\(x^{2}-4x+3\leqq 0\)とする.\(x^{2}-4x+3=(x-1)(x-3)\)となる.グラフを考えると,\(y\)が負もしくは0の部分になっているのは,\(1≦x≦3\)である.
\(x^{2}+4x+4>0\)を解く.まず,\(x^{2}+4x+4=(x+2)^{2}\)である.グラフを考えると,\(y\)が正の部分となっているのは,\(x<−2,x>−2\)である.
\(x^{2}-6x+9\leqq 0\)を解く.まず,\(x^{2}-6x+9=(x-3)^{2}\)である.グラフを考えると,\(y\)が負もしくは0の部分になっているのは,\(x=3\)のみである.
\(x^{2}+3x+3\geqq 0\)を解く.\(x^{2}+3x+3=0\)において判別式\(D=−3\)となるので,\(x\)軸との共有点はない.グラフを考えると,\(y\)が正の部分となるのはすべての\(x\)である.
\(x^{2}+2x+4<0\)を解く.\(x^{2}+2x+4=0\)において判別式\(D=−12\)となるので,\(x\)軸との共有点はない.グラフを考えると,\(y\)が負の部分となるのは存在しない.
以上により,一般的には次のようになる.
\(y=ax^{2}+bx+c\)において,
①\(D>0\)のとき,
実数解を\(\alpha,\beta~(\alpha<\beta)\)をすると,
\(y≧0\)となるのは,\(x≦\alpha,x≧\beta\)
\(y>0\)となるのは,\(x<\alpha,x>\beta\)
\(y≦0\)となるのは,\(\alpha≦x≦\beta\)
\(y<0\)となるのは,\(\alpha<x<\beta\)
②\(D=0\)のとき,
実数解を\(\alpha\)(重解)とすると,
\(y≧0\)となるのは,全ての実数
\(y>0\)となるのは,\(\alpha\)以外のすべての実数\((x<\alpha,x>\alpha)\)
\(y≦0\)となるのは,\(x=\alpha\)
\(y<0\)となるのは,解はない
③\(D<0\)のとき,
\(y≧0\)となるのは,全ての実数
\(y>0\)となるのは,全ての実数
\(y≦0\)となるのは,解はない
\(y<0\)となるのは,解はない
○二次関数のグラフの位置関係と判別式
二次関数\(y=ax^{2}+bx+c\)と\(x\)軸との位置関係において,\(y=0\)の場合を考えればよいので,\(ax^{2}+bx+c=0\)において\(x\)の解は
\(x=\displaystyle \frac{-b\pm\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\)なので,\(D=b^{2}-4ac\)の値によって実数解の数は変わってくる.
①\(D>0\)のとき,
異なる実数解を2つ持つ.よって\(x\)軸との共有点は2つとなる.
②\(D=0\)のとき,
実数解を1つ持つ(重解).よって\(x\)軸との共有点は1つとなる.(接する)
③\(D<0\)のとき,
実数解は存在しない.よって\(x\)軸との共有点はない.
例題
\(y=x^{2}+2x+a\)と\(x\)軸との共有点の数を求めよ.
判別式\(\displaystyle \frac{D}{4}=1−a\)
よって
\(a>1\)のとき,共有点の数は0つ
\(a=1\)のとき,共有点の数は1つ
\(a<1\)のとき,共有点の数は2つ
別解
\(y=(x+1)^{2}+a-1\)からも求められる.
またx軸との共有点だけでなく,直線との共有点についても求められる.
例題
\(y=-x^{2}\)と\(y=4x+k\)が接するとき,\(k\)の値を求めよ.
連立方程式をたてると,
\(x^{2}+4x+k=0\)
判別式\(\displaystyle \frac{D}{4}=4-k\)
接するときは\(D=0\)なので,求める答えは\(k=4\)となる.
応用例題
\(y=ax^{2}-3x+a-4\)のグラフが\(x\)軸とを共有点を持たない時\(a\)の値の範囲を求めよ.
解答
※二次関数の場合にしか判別式\(D\)は使えない.
\(a\neq0\)のとき,
\(D=-4a^{2}+16a+9=-(2a+1)(2a-9)\)から,条件は\(D<0\)より,
\(-\displaystyle \frac{1}{2}<a<0,0<a<\frac{9}{2}\)となる.
\(a=0\)のとき,\(y=−3x−4\)となり,\(x\)軸と共有点を持つので不適.
○連立不等式
\(x^{2}-4x+3>0\),\(x^{2}-5x\leqq 0\)の連立不等式を解け.
\(x^{2}-4x+3>0⇔(x-1)(x-3)>0⇔x<1,x>3\)
\(x^{2}-5x\leqq 0\) ⇔ \(x(x-5)\leqq 0\) ⇔ \(0\leqq x\leqq 5\)
よってこの範囲の共通部分を求めればよいので,
\(0\leqq x<1,~3<x\leqq 5\)