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著作権について
〇著作権の帰属
引用先(大学名やサイト)が書いてる問題は,各引用先に帰属しています.また各問題の解説,オリジナル問題に関しては,私(math03)に帰属しています.
〇著作権の目的と手段
著作権法第1条には次のように記載されている.
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
よって著作権法の第一義的な目的は「文化の発展に寄与」することであり、「著作物等の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図る」ことはその目的達成のための手段であります。そのため,著作権法では,一定の「例外的」な場合に著作権等を制限して,著作権者等に許諾を得ることなく利用できることを定めています(第30条〜第47条の8)。
参考:
文化庁, 著作物が自由に使える場合
Wikibooks, 著作権法第1条
〇数学の問題の著作権について
数学の問題について,単なる数式を表したものを解く問題については,著作権がないと私は考えております.例えば,式が与えられた整数問題は典型的な例だと思います.一方でオリジナル性が高い問題については,著作権はあると考えております.オリジナル性が高い問題というのは,①完全に新しい問題で文章表現から解釈が必要な問題,であると考えております.例えば,1998年の東大 後期大問3はグラフ理論を入試問題として出した問題であり,文章表現からかなり解釈して特に必要があります.一方で,例えば次の問題の著作権は微妙だと考えられます.
「\(\tan 1^{\circ}\) は有理数か?(2006京大)」
これは,おそらく最も短い文章の入試問題として有名で,インターネット上ではかなりのサイトで挙げられている問題だと思います.数式がメインで著作権がないように見えますが,かなり厳しい目で見ると,無理数であることを示す必要があると文章表現から解釈が必要になるため,著作権はあると判断できます.ただ,この問題は「\(\tan 1^{\circ}\neq\displaystyle \frac{a}{b},~ a,b\in 整数, b\neq0\) 」と単なる数式に容易に表現できます.
ここで,過去に科学技術論文の著作物として保護範囲が問題になった事例として,以下のような検討が行われています.
「著作権法は,著作物の表現のみを保護し,アイデアを保護しませんが,科学技術論文の場合には,アイデアと表現が一体化したり,アイデアを表現する方法が限られることが多くみられ,このような場合には,表現とアイデアがマージ(merge)しているとして,著作権法による保護が拒否されることがあります。」
この判断に基づけば,数学の問題を考える時(アイデア),表現方法としてほぼ数式が担う場合は,アイデアと表現方法がマージしているため,著作権がないとみなされる場合があると思います.そのため,問題の解答も著作権がない場合もあり得ます.
参考 発明推進協会, 知的所有権判例ニュース1994-12
〇当サイトの引用問題に関して
著作物について,検討の過程における利用(著作権法第30条の3)によると,以下の記述があります.
「著作権者の許諾を得て、又は著作権法上の裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、その利用を検討する過程においては、必要と認められる限度で当該著作物を利用することができる。」
そのため,大学入試問題や問題集の問題についても例外はなく,通常は使用許可を取る手続きが必要になります(ほぼ許可が出るので形式的になると思いますが).
一方で著作権があるものについて,「引用」という形であれば,著作権者の許諾なしにその著作物を利用することが可能になります.なお「引用」とするには,「引用の目的上正当な範囲内」で,以下の条件を満たして行われる必要があります.
・すでに公表されている著作物であること
・「公正な慣行」に合致すること
・報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
・引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
・カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
・引用を行う「必然性」があること
・ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
よって,例えば以下のような場合は引用と解釈されると考えており,当サイトで問題を扱うときはそのような形式で示していきたいと思います.
・オリジナル問題+その解説に対して,補足として大学入試等の問題を示す.
・ある話題やテーマに対して,大学入試等の問題を示す.
・解き方を学んでもらうために,大学入試等の問題を示す.(解答の方法がメインという解釈)
参考:公益社団法人 著作権情報センター, :著作物が自由に使える場合は?