初級者
数学A:整数
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ガウス "数学は科学の女王であり,数論は数学の女王である”
〇数について
整数:\(0,\pm1,\pm2,\cdots\)自然数:正の整数 \((1,2,\cdots)\)
約数:\(c=a\times b\)の時,\(a,b\)は\(c\)の約数という.倍数:\(c=a\times b\)の時,\(c\)は\(a,b\)の倍数という.
素数:2以上の整数で1と自分自身の数以外に正の約数を持たない数 \((2,3,5,7,\cdots)\)〇素因数分解
\(a^{m}\times b^{n}\)の正の約数の個数は,\((m+1)(n+1)\)
正の約数の総和は,\((1+a+\cdots+a^{m})(1+b+\cdots+b^{n})\)
例:\(18=2^{1}\times3^{2}\)
正の約数の個数については,2を0~1個,3を0~2個選ぶので,\((1+1)(2+1)=9\)
正の約数の総和については,2からは1,2,3からは\(1,3,3^{2}\)を選んで足し合わせるので,\((1+2)(1+3+3^{2})=39\)
〇最大公約数,最小公倍数
最大公約数:共通な約数(公約数)の中で最も大きな数最大公倍数:共通な倍数(正の公倍数)の中で最も大きな数
例:35と10について,
\(35=5\times 7\), \(10=2\times 5\)となるので,
最大公約数は5,最大公倍数は\(2\times 5\times 7=70\)
・最大公約数\(g\)と最大公倍数\(l\)の関係
自然数\(a,b\)の最大公約数を\(g\),最大公倍数を\(l\)とすると,
\(a=a'g,~b=b'g\) (\(a',b'\)は互いに素)と表すことができる.
\(l=a'b'g\)なので,\(ab=lg\)が成り立つ.
〇互いに素:\(a,b\)の最大公約数が1である(共通の約数を持たない)とき,\(a,b\)は互いに素という.
性質:
連続する二つの整数は互いに素 \((n,n+1)\)
異なる二つの素数は互いに素⇒\(a,b\)の最大公約数\(g=1\).よって,\(a,b\)の最小公倍数\(l=ab\).
〇倍数の性質
2の倍数は,下一桁が偶数.(9992)
3の倍数は,全ての桁の数字を足した数が3の倍数.(54321)
5の倍数は,下一桁が5 or 0
10の倍数は,下一桁が0
他の倍数の判定方法も以下のようになるが,あまり使わないと思う.
4の倍数は,下二桁が4の倍数
8の倍数は,下三桁が8の倍数
9の倍数は,全ての桁の数字を足した数が9の倍数.
〇連続する整数の積の性質
連続する\(n\)個の整数の積は\(n!\)の倍数である.
○整数の除法
\(a\)は整数,\(b\)は正の整数,\(m\)は商(整数),\(r\)は余り\((0\leqq r \leqq b-1)\)とすると,\(a=bm+r\)と示せる.
〇余りを用いた整数の表し方
よく使う値として,\(b=2,3,5\)がある.特に\(b=3,5\)は二乗するときに利用することが多い.
〇合同式
余りの表し方として\(a,b\)を\(m\)で割ったときの余りが等しいとき,\(a \equiv b\) \((\mod m)\)と表す.
合同式は足し算(\(a+c\equiv b+d\)),引き算(\(a-c\equiv b-d\)),掛け算(\(ac\equiv bd\))は成立する.
○ユークリッドの互除法
\(a,b\)は自然数\((a>b)\),\(m\)は商(整数),\(r\)は余り\((0\leqq r \leqq b-1)\)とするとき,\(a\)と\(b\)の最大公約数と\(b\)と\(r\)の最大公約数は等しい.
この性質を利用すると,大きい数でも簡単に最大公約数を求めることができる.
例:642と564の最大公約数は6である.ユークリッドの互除法で割り切った時の\(b\)の値である.
642=546×1+96
546=96×5+66
96=66×1+30
66=30×2+6
30=6×5
642と564の最大公約数=546と96の最大公約数=…=30と6の最大公約数
〇不定方程式の整数解
\(ax+by=c\)の場合,
\(a,b\)の最大公約数\(g\)が存在するとき,\(a=a'g,~b=b'g\) (\(a',b'\)は互いに素)として,
\(\displaystyle a'x+b'y=\frac{c}{g}\), \(\displaystyle \frac{c}{g}\)が整数でない場合は解なし.
\(\displaystyle \frac{c}{g}=c'\)が整数の場合,\(a'(x-p)=-b'(y-q)\)で表せる\(p,q\)を見つけ(※),\(a',b'\)は互いに素なので,\(x-p=-b'k,~y-q=a'k\)が解となる.
他に因数分解ができる場合(例:\((x+a)(y+b)=c\)はx+a,y+bはcの約数であることを利用)や二次方程式系なら判別式\(D\)で範囲を絞る方法がある.
・有理数は有限小数か循環小数になる.(無理数は無限小数で循環小数にならない)
有限小数:\(\displaystyle \frac{1}{4}=0.25\)
循環小数:\(\displaystyle \frac{1}{3}=0.\.{3}\)
〇ガウス記号[ ]
\(x\)以下の最大の整数を\([x]\)と表す.よって,\([x]\leqq x <[x]+1\)
他に,\([x]+[y]\leqq [x+y]\), \([x+n]=[x]+n\) (\(n\)は整数)が成立する.
また小数部分は,\(x-[x]\)で表せる.
〇記数法
n進法は0~n-1まで各桁,nで下二桁の位に1上がる
2進法:\(101_{(2)}\)を10進法で表す時,
\(101_{(2)}=1\times 2^{2}+0\times 2^{1}+1\times 2^{0}=5\)
10進法:5を2進法で表す時,5を2で割り続け,
\(5=2^2times 1 + 2^1 \times +2^0 \times 1\)なので,\(101_{(2)}\)となる.
〇テクニック的な内容
整数問題の解き方についてはいろいろな解き方があるので,問題を多くやって1つ1つに慣れていかないとだめだと思います.しかし特殊なことを使う以外に根底にあるものとして,
①整数(素数)であることを利用する.
②不等式を作り,そこから整数を出す.
③倍数(余り)を使う.
④因数としてくくりだして,互いに素であることを使う.
などがあります.具体的な問題を解いていき,覚えていきましょう.