初級者
数学Ⅱ:微分積分
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ライプニッツ ”苦いものを味わったことのない者は,甘いものを得たことがない”
¶微分
☆極限値
\(x\)が\(a\)と異なる値をとりながら,\(a\)に限りなく近づく時に,\(f(x)\)がある値\(\alpha\)(極限値)に限りなく近づくときに
\(\displaystyle \lim_{x\rightarrow a}f(x)=\alpha\)と書ける.
☆微分係数
ここで,\(x=a\)における微分係数について\(f^{\prime}(a)\)と表すとき,
\(f^{\prime}(a)=\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}=\lim_{x\rightarrow a}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\)となる.また図形として,曲線\(y=f(x)\)上の点\((a,f(a))\)における接線の傾きの意味を持つ.
☆導関数
微分係数に関しては,\(x=a\)と一部分だけだったのを\(x\)の範囲を広げて関数にしたのを導関数という.つまり,
\(f^{\prime}(x)=\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)となる.また,\(y=f(x)\)とすると,\(y^{\prime}=f^{\prime}(x)\)ともあらわす.
○いろいろな導関数
\(y=x^{n}\)の導関数は\(y^{\prime}=nx^{n-1},y=C\)(\(x\)に関係ない定数)の導関数は\(y^{\prime}=0\)
○導関数の性質
\(y=sf(x)+tg(x)\)ならば,\(y^{\prime}=sf^{\prime}(x)+tg^{\prime}(x)\)
※ここまでは\(x\)で微分するということが前提であるが,変数が\(t\)の場合で\(t\)について調べたいならもちろん\(t\)で微分すること.
☆応用
微分係数はグラフとして,曲線\(y=f(x)\)上の点\((a,f(a))\)における接線の傾きの意味を持つので,接線の式を表すことができる.
曲線\(y=f(x)\)上の点\((a,f(a))\)における接線は\(y-f(a)=f^{\prime}(a)(x-a)\)である.
一方法線(接線と垂直になり点\((a,f(a))\)を通るようにした式)は傾きが\(-\displaystyle \frac{1}{f^{\prime}(a)}\)となるだけなので,式は\(y-f(a)=-\displaystyle \frac{1}{f^{\prime}(a)}(x-a)\)である.
例
\(y=x^{2}+x+1\)で\((1,3)\)での接線は,
\(y^{\prime}=2x+1\)から,接線は\(y-3=(2\cdot 1+1)(x-1)\) ⇔ \(y=3x\)
例
\(y=x^{2}+x+1\)に点\((2,6)\)から引いた接線の式と接点を求めよ.
\(y^{\prime}=2x+1\)で接点を(\(a,a^{2}+a+1)\)とおくと,接線は\(y=(2a+1)(x-a)+a^{2}+a+1\) これが点\((2,6)\)を通るので,代入して整理すると,
\(a^{2}-4a+3=0\) ⇔ \(a=1,3\)
\(a=1\)のとき,接線は\(y=3x\) 接点は\((1,3)\)
\(a=3\)のとき,接線は\(y=7x-8\) 接点は\((3,13)\)
☆関数のグラフと増減,極大極小
○増減
区間\(a<x<b\)で常に\(f^{\prime}(x)>\)(\(<\))\(0\)ならば,\(f(x)\)は\(a≦x≦b\)で単調に増加(減少)する.
区間\(a<x<b\)で常に\(f^{\prime}(x)=0\)ならば,\(f(x)\)は\(a≦x≦b\)で定数である.
○極大・極小
グラフをイメージしてもらうとわかりやすいのだが,傾きである\(f^{\prime}(x)\)の符号が,\(x=a\)の前後で正から負に変わる時,一部で上に凸のようなグラフが描ける.この\(x=a\)で,てっぺんになる\(f(a)\)のことを極大値という.
逆に,傾きである\(f^{\prime}(x)\)の符号が\(x=a\)の前後で負から正に変わる時,一部で下に凸のようなグラフが描ける.この\(x=a\)でくぼみになるところ\(f(a)\)のことを極小値という.
また両方をまとめて極値という.また極値の条件として,
\(f(x)\)が\(x=a\)で極値を取るならば,\(f^{\prime}(a)=0\)(必要条件)がある.必要条件なので,\(f^{\prime}(a)=0\)であっても\(x=a\)で極値をとるとは限らない.
例 \(y=x^{3}\)は\(y^{\prime}=3x^{2}\)で\(x=0\)となるが,常に\(y^{\prime}>0\)である.あくまでも傾きである\(f^{\prime}(x)\)の符号が\(x=a\)の前後で正から負に変わる時(または負から正)が極値が得られるので,これは極値を持たない.
また,これはグラフを描く時や最大最小を求める時によく使う.
例 グラフ
\(y=x^{3}-6x^{2}+1\)の極値は
\(y^{\prime}=3x^{2}-12x=3x(x-4)\)
よって\(x=0,4\)のとき極値をとる.増減表を描くとグラフの概形が分かるので,書くこと.
増減表は以下のようになる.
\begin{array}{c|c|c|c|c} x & \cdots & 0 & \cdots & 4 & \cdots \\ \hline y'& + & 0 & - & 0 & + \\ \hline y &\nearrow& 1 &\searrow&-31&\nearrow\\ \hline & & 極大 & & 極小 & \\ \end{array}よって\(x=0\)のとき極大値は1 \(x=4\)のとき極小値−31となる.
例 最大・最小
\(y=x^{3}-6x^{2}+1\) \((−2≦x≦7)\)の最大,最小値は
上のようにやると増減表はこのようになる.
\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c} x & -2 & \cdots & 0 & \cdots & 4 & \cdots& 7 \\ \hline y'& & + & 0 & - & 0 & + & \\ \hline y & -31 &\nearrow& 1 &\searrow&-31&\nearrow& 50 \\ \hline & & & 極大 & & 極小 & & \\ & 最小 & & & & 最小 & &最大 \\ \end{array}よって\(x=7\)のとき,最大値50 \(x=−2,4\)のとき最小値−31をとる.
○グラフ
※これは知っておくと大変便利です.
例 \(y=x^{3}-3x\)のグラフ
例 \(x^{3}-3x-a=0\)で実数解の個数を求めよ.
\(y=x^{3}-3x\)と\(y=a\)にわけて上のようなグラフを描いて,\(a\)を移動させればよい.
\(a<−2,a>2\)のとき,実数解は1つ,\(a=\pm2\)のとき,実数解は2つ,\(−2<a<2\)のとき,実数解は3つ
例 \(x^{3}\geqq 3x-2\) \((x≧−2)\)であることを示せ.
\(y=x^{3}-3x+2\)として,グラフを描けばわかりますが,増減表だけでも大丈夫でしょう.
¶積分
☆不定積分
積分は微分の逆と思ってもらえればいいです.つまり,\((x^{2}+C)^{\prime}=2x\)なので,\(2x\)を積分するといったら,答えは\(x^{2}+C\)(\(C\)は積分定数)となり,\(x^{2}+C\)は関数が定まらない不定積分である.
また積分の記号は\(\displaystyle \int\)と表せて,不定積分は\(F^{\prime}(x)=f(x)\)のとき,\(\displaystyle \int f(x)dx=F(x)+C\)と表す.つまり,\(\displaystyle \int 2xdx=x^{2}+C\)となる.
○いろいろな不定積分
\(\displaystyle \int x^{n}dx=\frac{1}{n+1}x^{n+1}+C\)(\(C\)は積分定数)
○不定積分の性質
\(\displaystyle \int\{sf(x)+tg(x)\}dx=s\int f(x)dx+t\int g(x)dx\)
☆定積分
関数\(f(x)\)の1つの不定積分を\(F(x)\)とするとき,\(F(b)−F(a\))を\(f(x)\)の\(a\)から\(b\)までの定積分といい,次のような記号であらわせる.
\(\displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx=[F(x)]_{a}^{b}=F(b)-F(a)\)となる.このとき,積分定数\(C\)は結局消えるので,考えなくてよい.また,\(a,b\)の大小も考えなくてよい.
もちろん値は正になるとは限らないので注意.
○定積分の性質
\(\displaystyle \int_{a}^{b}\{sf(x)+tg(x)\}dx=s\int_{a}^{b}f(x)dx+t\int_{a}^{b}g(x)dx\)
\(\displaystyle \int_{a}^{a}f(x)dx=0\)
\(\displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx=-\int_{b}^{a}f(x)dx\)
\(\displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx=\int_{a}^{c}f(x)de+\int_{c}^{b}f(x)dx\)
なおこれも,\(a,b,c\)の大小は気にしなくてよい.
○定積分と微分
ここでも積分が関数になる時がある.それは,\(\displaystyle \int_{a}^{x}f(t)dt\)となる時である.なおこれは\(t\)の関数ではなくて\(x\)の関数である.\(t\)はただの計算の道具として置いてあるだけである.またこれで,\(\displaystyle \int_{a}^{x}f(t)dt=F(x)-F(a)\)となるので,両辺を微分すると\(\displaystyle \frac{d}{dx}\int_{a}^{x}f(t)dt=f(x)\)となる.つまり,\(\displaystyle \int_{a}^{x}f(t)dt\) =(\(x\)の関数)であるとき,\(f(x)\)を求めたいなら,\(f(x)\)=(\(x\)の関数)'とすればよい.
☆面積
区間 \(a≦x≦b\)で常に\(f(x)≧g(x)\)とする.2つの曲線\(y=f(x),y=g(x)\),および2直線 \(x=a,x=b\)で囲まれた図形の面積\(S\)は,
\(S=\displaystyle \int_{a}^{b}\{f(x)-g(x)\}dx\)となる.つまりグラフ的には上から下にある関数をひいて積分すればいいということである.なお面積なので,必ず値は正となる.
※必ず上から下!忘れないように.
○覚えておきたいこと
\(\displaystyle \int_{a}^{b}(x-a)(x-b)dx=-\frac{1}{6}(b-a)^{3}\)