MATH

初級者

数学Ⅲ:いろいろな関数

岡潔 ”数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです.行き詰まるから発見するのです”

¶いろいろな関数


☆分数関数


一般的に\(y=f(x)\)を平行移動するとき,\(x\)軸方向に\(p\),\(y\)軸方向に\(q\)移動させた関数は\((y-q)=f(x-p)\) ⇔ \(y=f(x-p)+q\)

これを分数関数に適応させてみる.

\(y=\displaystyle \frac{c}{x-p}+q\) のグラフは,\(y=\displaystyle \frac{c}{x}\) のグラフを\(x\)軸方向に\(p\),\(y\)軸方向に\(q\)移動した関数である.これは直角双曲線で,漸近線が\(x=p,y=q\)である.


例題

\(y=\displaystyle \frac{ax+b}{cx+d}\) のグラフについて,双曲線になる条件を求めよ.

双曲線になるには,\(y=\displaystyle \frac{t}{x-p}+q\) の形にならなければならない.

\(y=\displaystyle \frac{ax+b}{cx+d}=\frac{a\left(x+\displaystyle \frac{d}{c}\right)-\displaystyle \frac{ad}{c}+b}{c\left(x+\displaystyle \frac{d}{c}\right)}=\frac{bc-ad}{c^{2}\left(x+\displaystyle \frac{d}{c}\right)}+\frac{a}{c}\)

これより,\(c\neq0,ad−bc\neq0\)


例題

\(y=\displaystyle \frac{3}{x-1}\) と\(y=x-3\) の交点を求めよ.

普通に連立すればよい.\(\displaystyle \frac{3}{x-1}=x-3\) ⇔ \(x^{2}-4x=0\) ⇔ \(x=0,4\)

\((x,y)=(0,−3),(4,1)\)

例題

\(\displaystyle \frac{3}{x-1}>x-3\)の不等式を解け.

これはグラフを考える必要がある.

図のようになっているので,

答えは\(1<x<4,x<0\)


☆無理関数

\(y=\sqrt{ax+b}+c\) のグラフは,\(y=\sqrt{ax}\) のグラフを\(x\)軸方向に\(-\displaystyle \frac{b}{a}\),\(y\)軸方向に\(c\)移動した関数である.

\(a>0\)のとき,定義域は\(x\displaystyle \geqq-\frac{b}{a}\),値域は\(y\geqq c\)

\(a<0\)のとき,定義域は\(x\displaystyle \leqq-\frac{b}{a}\),値域は\(y\geqq c\)


例題

\(y=\sqrt{3x-2}\) と\(y=x\) の交点を求めよ.

普通に連立すればよい.\(\sqrt{3x-2}=x\) ⇔ \(x^{2}-3x+2=0\) ⇔ \(x=1,2\)

\(x>0\) かつ \(x>\displaystyle \frac{2}{3}\)の条件を両方ともに満たしている.\((x,y)=(1,1),(2,2)\)


例題

\(\sqrt{3x-2}>x\)の不等式を解け.

これはグラフを考える必要がある.

図のようになっているので,

答えは\(1<x<2\)


☆逆関数

関数\(y=f(x)\)が\(x=g(y)\)と表せるとき逆関数にできる.逆関数は\(y=g(x)\)とする.

\(y=x+1\)の逆関数は\(y=x−1\)である.

\(y=e^{x}\)の逆関数は\(y=\log x\)である.

\(f(x)\)の逆関数を\(f^{-1}(x)\)とすると,\(b=f(a)\) ⇔ \(a=f^{-1}(b)\)が成り立つ.

○逆関数の性質

\(f(x)\)と\(f^{-1}(x)\)は定義域と値域が入れ替わる.

\(y=f(x)\)と\(y=f^{-1}(x)\)のグラフは\(y=x\)に関して対称になる.


例題

\(y=\displaystyle \frac{3x-1}{x+2}\)の逆関数を求めよ.

\(x=-\displaystyle \frac{2y+1}{y-3}\)と書き換えられるから,逆関数は\(y=-\displaystyle \frac{2x+1}{x-3}\)


☆合成関数

\(z=g(y)\)と\(y=f(x)\)があるとする.\(f(x)\)の値域が\(g(y)\)の定義域の含まれているとき1つにまとめることができ,新しい関数\(z=g(f(x))\)となる.これを合成関数という.また\(g(f(x))=(g\circ f)(x)\)と表せる.

\(f(x)=x+2,g(x)=3x+2\)とする時,

\((g\circ f)(x)=g(f(x))=3(x+2)+2=3x+8\)

\((f\circ g)(x)=f(g(x))=(3x+2)+2=3x+4\)