初級者
数学Ⅰ:確率
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パスカル ”理性によって神の実在を決定できないとしても,神が実在することに賭けても失うものは何もないし,むしろ生きることの意味が増す”
¶確率
☆確率と事象…結果が起こる事柄
○確率
まず,くじ引きで10本中1本当たりがあるものがあるとする.当たりが出る確率は\(\displaystyle \frac{1}{10}\)である.これは当たり前のことだが,確率=\(\displaystyle \frac{\text{結果が得られる場合の数}}{\text{すべての場合の数}}\)である.
例題
2人でじゃんけんする.1回でじゃんけんに勝つ確率は,
すべての場合の数(全事象)が3×3=9
また勝つときは3通りある.
よって確率は\(\displaystyle \frac{3}{9}=\frac{1}{3}\)である.もちろん簡単に考えると勝つ・負ける・引き分けのうち勝つだから\(\displaystyle \frac{1}{3}\)
これからは事象\(A\)の起こる確率を\(P(A)\)と書くことにする.
○積事象・和事象・排反事象
積事象…事象\(A\)と事象\(B\)がともに起こる時の事象 \(P(A∩B)\)
和事象…事象\(A\)または事象\(B\)が起こる時の事象 \(P(A∪B)\)
排反事象…事象\(A,B\)が同時にはおこらない時の事象 \(P(A∩B)=0\)
○和事象の確率(集合の時と同じ)
\(P(A∪B)=P(A)+P(B)-P(A∩B)\)
例題
1から10の数の中から1つ数を選ぶ.このときに偶数または3の倍数になる確率を求めよ.
全事象は10通り,偶数になる事象は5通り,3の倍数になる事象は3通り,偶数かつ3の倍数(6の倍数)となる事象は1通り,
よって求める確率は\(\displaystyle \frac{5}{10}+\frac{3}{10}-\frac{1}{10}=\frac{7}{10}\)
○積事象の確率
\(P(A∩B)=P(A)P_{A}(B)\)(ただし\(P_{A}(B)\)は\(A\)が起こったときに\(B\)が起こる確率のことである.従属している.)
例題
10本中2本当たりがあるおみくじがあるとする.2連続でおみくじをひいたときに当たりが出ない確率を求めよ.
\(P(A)=\displaystyle \frac{8}{10},P_{A}(B)=\frac{7}{9}\)よって求める確率は\(P(A∩B)=\displaystyle \frac{28}{45}\)
○余事象…結果が起こらない事柄
例題を見るとわかりやすい.
例題
さいころを2つ投げる.2つの目をかけた時,偶数となる確率を求めよ.
まずすべての確率についてみてみよう.
①偶数が2つ②偶数と奇数が1つずつ③奇数が2つ,このうち条件を満たすものは①と②である.
このとき考え方を変えてみよう.(①+②+③)の確率=1である.よって求める確率は(①+②)の確率=1-③の確率と言い換えることができる.つまり,この問題は全事象の確率から偶数という結果が起こらない事象(余事象)の確率を引けばよい.そこで③の確率は\(\displaystyle \frac{1}{2}\times\frac{1}{2}=\frac{1}{4}\)となる.
よって答えは\(1-\displaystyle \frac{1}{4}=\frac{3}{4}\)となる.
この例題のように余事象を使うと,簡単に問題が解けることがある.
○独立試行の確率
独立(互いの結果が影響を及ぼしあわない)な2つの試行において,事象の確率は\(P(C)=P(A)P(B)\)となる.
例題
サイコロを二回投げる時,両方とも偶数となる確率を求めよ.
1回目\(P(A)=\displaystyle \frac{1}{2}\),2回目\(P(B)=\displaystyle \frac{1}{2}\) よって両方とも偶数になる確率は\(P(C)=P(A)P(B)=\displaystyle \frac{1}{4}\)
○反復試行の確率
1回の試行で事象\(A\)が起こる確率を\(p\)とするとき,\(n\)回試行を繰り返し\(A\)が\(r\)回起こる確率は\({}_{n}C_{r}p^{r}(1-p)^{n-r}\)
例題
コインを4回投げて表が2回出る確率を求めよ.
表を○,裏を×とする.
○○××の並び方は\({}_{4}C_{2}=6\),また表の出る確率は\(\displaystyle \frac{1}{2}\)である.
よって求める値は\({}_{4}C_{2}\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{2}\left(\displaystyle \frac{1}{2}\right)^{2}=\displaystyle \frac{3}{8}\)
☆期待値…1回あたり平均的に期待される値
宝くじなどでよく聞く値であろう.これを文字であらわしてみる.
変数X(賞金など)の取りうる値を\(x_{1},x_{2},\cdots,x_{n}\)としてそれぞれの変数に対してとる確率を\(p_{1},p_{2},\cdots,p_{n}\)とすると,期待値\(E\)は
\(E=x_{1}p_{1}+x_{2}p_{2}+\displaystyle \cdots+x_{n}p_{n}=\sum_{k=1}^{n}x_{k}p_{k}\) ただし\(p_{1}+p_{2}+\cdots+p_{n}=1\)
例題
サイコロを一回投げる時出る目の期待値を求めよ.
目が1の時,確率は\(\displaystyle \frac{1}{6}\)となる.他の場合も同様.
よって求める値は\(1\displaystyle \times\frac{1}{6}+2\times\frac{1}{6}+\cdots+6\times\frac{1}{6}=\frac{7}{2}\)