初級者
数学Ⅰ:論理
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ゲーテル ”Either mathematics is too big for the human mind, or the human mind is more than a machine”
¶論理と集合
☆集合…ものの集まりのこと.
集合は図を書くとわかりやすいので,書いた方がよい.
その集合を形成している1つ1つのものを要素という.
また,集合\(A\)に\(a\)が属していて,\(b\)が属していない時
\(A\in a,A\not\in b\)と書く.
例
1年4組の益男くん(\(a\))と5組の英臣くん(\(b\))について
1年という集合\(A\)には二人とも含まれているが,
4組という集合\(B\)には英臣君は含まれていない.
\(A\in a,A\in b,~B\in a,B\not\in b\)
○部分集合
\(x\in A\Rightarrow x\in B\)のときは\(A\)の中のすべての要素が\(B\)に入っている.
このとき,\(A\)は\(B\)の部分要素といい,\(A⊂B\)と書く.
また,\(A\)と\(B\)の要素が一致しているとき\(A=B\)と書く.
例
1年4組という集合\(B\)は1年という集合\(A\)に含まれている.
言い換えると,1年の要素は4組の要素を含んでいると言える.よって\(A⊂B\)となる.
○共通部分・和集合
ある集合が\(A\)と\(B\)両方に属しているとき\(A∩B\)と書く.(共通部分)
ある集合が\(A\)と\(B\)いずれか(少なくとも一方)に属しているとき\(A∪B\)と書く.(和集合)
もちろん2つ以上の場合もある.集合は図をかくとわかりやすい.(ベン図)
また要素が全くない場合は空集合\(\phi\)とかく.
例
1年の集合を\(A\),4組の集合を\(B\),学級委員の集合を\(C\)とすると,隆太郎くんは1年4組学級委員なので,\(A∩B∩C\)に含まれている.
卓くんは1年であるけど,5組でほかの委員会である.これは\(A∪B∪C\)に含まれているともいう.
○補集合
全体集合を\(U\)と決めた時,その中に含まれている集合\(A\)に対してこの\(A\)に属していない集合を\(\overline{A}\)(補集合)と書く.
例
1年全体の集合を\(U\)と決めた時,4組の集合を\(A\)とする.
1年が1~4組まであるとき,1~3組の集合は\(\overline{A}\)と表せる.
○ド・モルガンの法則
図を描けばわかるが次のような式が成り立つ.
\(\overline{A\cup B}=\overline{A}\cap\overline{B},\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup\overline{B}\)
○集合の個数
集合\(A\)の個数を表すとき\(n(A)\)と書く.
なお個数について以下のような式が成り立つ.
\(n(A∪B)=n(A)+n(B)−n(A∩B)\)
※なお,\(A∩B=\phi\)のとき,\(n(A∪B)=n(A)+n(B)\)となる.
\(n(\overline{A})=n(U)−n(A)\)
☆論理
ここではセンターに出るのでしっかり学んでほしい.しかし,センターレベルまでしか出ないと考えてよいので,ここをクリアーすれば心配することはないはず.
○命題…ある文章に対して正しい(真)か正しくないか(偽)が決まるもの
命題の真偽を確かめるとき,
真の場合…証明する.
偽の場合…証明か成り立たないもの(反例)を1つあげる.
\(p,q\)の条件のもと,\(p,q\)を満たす集合をそれぞれ\(P,Q\)とするとき
(\(p⇒q\)が真) ⇔ (\(P⊂Q\)) ⇔ (\(q\)は\(p\)であるための必要条件,\(p\)は\(q\)であるための 十分条件)
(\(q⇒p\)が真) ⇔ \((Q⊂P)\) ⇔ (\(p\)は\(q\)であるための必要条件,\(q\)は\(p\)であるための 必要条件)
(\(p⇔q\)が真) ⇔ \((P=Q)\) ⇔ (\(q\)は\(p\)であるための必要十分条件,\(p\)は\(q\)であるための 必要十分条件)
※必要十分条件は言葉で見るとわかりにくいですが,以下のように見るといいでしょう.
なおこれが必ずわかるやり方かといわれるとアレですが,私はこの考え方でやってました.
\(p\)は\(q\)であるための○○条件である.と書いてあるとき,
\(p⇒q\)が成り立つとき,十分条件
\(q⇒p\)が成り立つとき,必要条件
となる.
例
\(x^{2}=4\)は\(x=2\)であるための○○条件と書いてあるとき,\(x=2⇒x^{2}=4\)が成り立つので,必要条件である.
○逆・裏・対偶
命題\(p⇒q\)において
\(q⇒p\)を逆
\(\overline{p}\Rightarrow\overline{q}\)を裏
\(\overline{q}\Rightarrow\overline{p}\)を対偶という.
なお命題\(p⇒q\)の証明をするとき,対偶\(\overline{q}\Rightarrow\overline{p}\)を証明してもよい.(図を書くとわかる.)
例
\(x−y≠3⇒x≠5\)または\(y≠2\)を証明するとき,
対偶は\(x=5\)かつ\(y=2⇒x−y=3\)となる.これは真なので,命題は真.
○背理法
ある事柄を証明するときその事柄が成り立たないことを仮定し,矛盾を導くことによりその事柄が成り立つことを示す証明法.
例題
\(\sqrt{2}\)が無理数であることを証明せよ.
答え
まず,\(n\)が整数であるとき,\(n^{2}\)が偶数⇒\(n\)も偶数であることを証明する.(対偶からの証明)
対偶をとると,\(n\)が奇数⇒\(n^{2}\)が奇数 これを証明する.
\(n=2k+1\)とすると,\(n^{2}=(2k+1)^{2}=2(2k^{2}+2k)+1\)
よって\(n^{2}\)は奇数となるので,\(n^{2}\)が偶数⇒\(n\)も偶数は成り立つ.
次に\(\sqrt{2}\)が有理数であると仮定すると,\(\displaystyle \sqrt{2}=\frac{m}{n}\)(\(m,n\)は互いに素な自然数)とおける.(背理法)
二乗して,変形すると\(2n^{2}=m^{2}\).\(m,n\)は互いに素なので,\(m=2m^{\prime}\)とおける.\(∴n^{2}=2m^{\prime 2}\)
\(m,n\)は互いに素なので,\(m^{\prime},n\)も互いに素.よって\(n=2n'\)とおける.
しかし\(m\)と\(n\)が2の倍数となり互いに素であることに矛盾する.よって,\(\sqrt{2}\)は無理数である.
※
背理法より,\(a,b,c,d\)が有理数,\(\sqrt{m}\)は無理数であるとすると,
\( a+b \sqrt{m}=c+d \sqrt{m} \Rightarrow a=c,b=d \)が成り立つ.