MATH

中級者

数学A:場合の数

ヒントは特になし.これは発想が大事なので,一度は経験しておきましょう.

問1

次の式が成り立つことを場合の数の観点から示せ.

(1)\({}_{n}C_{r}={}_{n-1}C_{r}+{}_{n-1}C_{r-1}\) \((n≧1)\)

(2)\(k{}_{n}C_{k}=n{}_{n-1}C_{k-1}\)

(3)\((a+b)^{n}=\displaystyle \sum_{k=0}^{n}{}_{n}C_{k}a^{k}b^{n-k}\)

(4)\(\displaystyle \sum_{k=r}^{n}{}_{k}C_{r}={}_{n+1}C_{r+1}\)


解説

(1)

\(n\)人から\(r\)人選ぶとき,\({}_{n}C_{r}\)通りである.

これを別の考え方で数える.

\(n\)人のうち特定の1人が\(r\)人に入るかどうかで決める.

入る場合は\({}_{n-1}C_{r-1}\)通り,入らない場合は\({}_{n-1}C_{r}\)通りである.

よって,\({}_{n}C_{r}={}_{n-1}C_{r}+{}_{n-1}C_{r-1}\) \((n≧1)\)


(2)

\(n\)人から\(k\)人のグループを作り,さらにその中から1人リーダーを決める場合,\(k{}_{n}C_{k}\)通りである.

また,\(n\)人から1人リーダーを決めてから,残りの\(n−1\)人から\(k−1\)人のグループを作る場合,\(n{}_{n-1}C_{k-1}\)通りである.

よって,\(k{}_{n}C_{k}=n{}_{n-1}C_{k-1}\)

※\(n\)を素数とした時のこの式を証明して,最終的にフェルマの小定理を証明する問題が奈良女子大に出ていました.


(3)

\((a+b)^{n}\)の\(a^{k}b^{n-k}\) \((k=0,1,\cdots,n)\)の係数について考える.

この場合,\(a\)を\(k\)個,\(b\)を\(n-k\)個を取り出すことと同じである.

よって係数は\({}_{n}C_{k}\)である.

これを,\(k=0,1,\cdots,n\)まで足し合わせればよい.

よって,\((a+b)^{n}=\displaystyle \sum_{k=0}^{n}{}_{n}C_{k}a^{k}b^{n-k}\)


(4)

整数\(1~n+1\)を考える.\(1~n+1\)から\(r+1\)個を選ぶとき,\({}_{n+1}C_{r+1}\)通りである.
また,\(r+1\)個のうちの最大値が\(r+1\)から\(n+1\)のいずれかであると考えると,\(\displaystyle \sum_{k=r}^{n}{}_{k}C_{r}\)通りである.(最大値が\(r+s\)の時,\(1,\cdots,r+s-1\)から\(r\)個選ぶので,\({}_{r+s-1}C_{r}\).そして,\(s\)が\(s=1,2,\cdots,n-r+1\)まで成立する)

よって,\(\displaystyle \sum_{k=r}^{n}{}_{k}C_{r}={}_{n+1}C_{r+1}\)