MATH

上級者

数学Ⅲ:微分法

ヒント:基本的に接線の数=方程式の解である.ただし,1つの接線が2重解を持つ場合(二重接線)は,異なるので注意せよ.

問題
曲線\(y=\log x\)に点\((a,b)\)から引き得る接線の本数を求めよ.(類 東工大)

解答
\(y=\log x\)上に点\((t,\log t)\)をとる.この点での接線は
\(\displaystyle y=\frac{1}{t}(x-t)+\log t\)
これが点\((a,b)\)を通るので,
\(\displaystyle b=\frac{1}{t}(a-t)+\log t\)
ここで\(\displaystyle f(t)=\frac{1}{t}(a-t)+\log t\)とおく.
\(\displaystyle f'(t)=\frac{1}{t^2}(t-a)\)
よって最小値は\(t=a\)で\(f(a)=\log a\)(増減表を書くとわかる.)
ここでグラフ\(y=f(t)\), \(y=b\)の交点の数が接線の数と一致する.
よって,
\(b<\log a\)のとき,接線の本数は0本
\(b=\log a\)のとき,接線の本数は1本
\(b>\log a\)のとき,接線の本数は2本


参考入試問題:1
曲線\(y=e^{x}\)に点\((a,b)\)から引き得る接線の本数を求めよ.(1980 東工大)

解答
\(y=e^{x}\)上に点\((t,e^{t})\)をとる.この点での接線は
\(y=e^{t}(x-t)+e^{t}\)
これが点\((a,b)\)を通るので,
\(b=e^{t}(a+1-t)\)
ここで\(f(t)=e^{t}(a+1-t)\)とおく.
\(f'(t)=e^{t}(a-t)\)
よって最大値は\(t=a\)で\(f(a)=e^{a}\)(増減表を書くとわかる.)
ここでグラフ\(y=f(t)\), \(y=b\)の交点の数が接線の数と一致する.
よって,
\(b>e^{a}\)のとき,接線の本数は0本
\(b=e^{a}\)のとき,接線の本数は1本
\(b<e^{a}\)のとき,接線の本数は2本


参考入試問題:2
\(p\)を正数とし,\(S\)を\(y^{2}=4px\)と表示される放物線とする.点\(P(a,b)\)から\(S\)への法線が何本ひけるか,場合分けして述べよ.(2008 AO東工大)

解答
\(S\)上のある点を\(\left(\displaystyle \frac{t^{2}}{4p},t\right)\)とおく.また\(\displaystyle \frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}\)\(=\displaystyle \frac{1}{\frac{y}{2p}}=\frac{2p}{y}\)から法線の傾きは\(-\displaystyle \frac{y}{2p}\)
よってこの点の法線は\(y=-\displaystyle \frac{t}{2p}\left(x-\frac{t^{2}}{4p}\right)+t\)
この法線が点\(P\)を通るので,代入して整理すると,
\(b=-\displaystyle \frac{t}{2p}\left(a-\frac{t^{2}}{4p}\right)+t\) \(\Leftrightarrow\) \(t^{3}-4p(a-2p)t-8p^{2}b=0\)
この\(t\)の3次方程式の解の数が接線の数と同じである.
\(f(t)=t^{3}-4p(a-2p)t-8p^{2}b\)とおくとき,
\(f'(t)=3t^{2}-4p(a-2p)\)で,
\(f'(t)=0\)となる\(t\)は\(t=\pm 2\sqrt{\frac{p(a-2p)}{3}}\)
\(x=2\sqrt{\frac{p(a-2p)}{3}},y=-2\sqrt{\frac{p(a-2p)}{3}}\)

(1)2つの解をもつとき
\(f(x)=0\)かつ\(f(y)>0\)もしくは\(f(x)<0\)かつ\(f(y)=0\)
\(f(x)=-\displaystyle \frac{16}{3\sqrt{3}}\{p(a-2p)\}^{\frac{3}{2}}-8p^{2}b=0\)
\(f(y)=\frac{16}{3\sqrt{3}}\{p(a-2p)\}^{\frac{3}{2}}-8p^{2}b=0\)から
二乗して求めると,\(a=2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)
ただしこの解\(f(x)=0\)を満たしていない.\(f(x)<0\)は満たしている.

(2)3つの異なる解をもつとき
\(f(x)<0\)かつ\(f(y)>0\)
\(f(y)>0\)から\(b>0\)のとき\(a>2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)このとき,\(f(x)<0\)となる.
\(b<0\)のときは\(\{p(a-2p)\}^{\frac{3}{2}}>0\)なので,どんな\(a\)でも\(f(y)>0\)となる.
よって,\(a>2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)
必要十分は満たしている(はず).

(3)1つの解をもつとき
\(f(x)>0\)
\(\{p(a-2p)\}^{\frac{3}{2}}>0\)なので,まず\(b<0\)となる.
よって\(\displaystyle \frac{16}{3\sqrt{3}}\{p(a-2p)\}^{\frac{3}{2}}<-8p^{2}b\)
二乗して整理すると,\(a<2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)
必要十分は満たしている(はず).

以上より
一本の時,\(a<2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)
二本の時,\(a=2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)
三本の時,\(a>2p+\displaystyle \frac{3}{2}\sqrt[3]{2pb^{2}}\)