中級者
図形問題
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ヒント:図形を各文字に置き換え,代数的に解くと難しい問題ですが,図形的に解くと簡単に解けます.
問題
三角形\(ABC\)に対して,\(AB=c\),\(BC=a\),\(CA=b\),内接円の半径を\(r\),外接円の半径を\(R\)とする.\(a=2R\)を満たす時,\(\displaystyle k=\frac{R}{r}\)の範囲を求めよ.
解答
〇図形的に解くと…

\(a=2R\),つまり\(BC\)は外接円の直径となる.図に描くと明らかなように,\(\angle A=90^{\circ}\)である.
ここで対称性より,\(b\leqq c\)と考えてよい.
まず,内接円\(r\)が最も小さくなる場合は,明らかに\(b\rightarrow 0\)である.
この時,\(r\rightarrow 0\)であるため,\(k\rightarrow \infty\)である.
また,内接円\(r\)が最も大きくなる場合は,明らかに\(b=c\)である.
この時,\(\angle B=\angle C=45^{\circ}\)であり,\(\displaystyle b=c=\frac{a}{\sqrt{2}}\)である.
ここで三角形の面積\(S\)は内接円の半径\(r\)を使うと,\(\displaystyle S=\frac{1}{2}(a+b+c)r\)
また,\(\angle A=90^{\circ}\)より\(\displaystyle S=\frac{1}{2}bc\)である.
よって,\(\displaystyle \frac{1}{2}(a+b+c)r\)\(=\displaystyle \frac{1}{2}bc\)
ここに\(\displaystyle b=c=\frac{a}{\sqrt{2}}\)を代入して整理すると,\(\displaystyle \frac{a}{r}\)\(=2(1+\sqrt{2})\)
さらに\(a=2R\)を代入して整理すると,\(\displaystyle k=\frac{R}{r}\)\(=1+\sqrt{2}\)
以上より,\(k\geqq 1+\sqrt{2}\)が答えとなる.
〇代数的に解くと…
正弦定理より,\(\displaystyle 2R=\frac{a}{\sin A}\)(\(A\)は角度)
\(a=2R\cdots(1)\)より,\(\sin A=1\)
ここで,\(0<A<180^{\circ}\)より,\(\displaystyle A=90^{\circ}\)
よって,\(a^2=b^2+c^2\cdots(2)\)が成り立つ.
次に三角形\(ABC\)の面積\(S\)は次の2通りで表される.
\(\displaystyle S=\frac{1}{2}(a+b+c)r\)
\(\displaystyle S=\frac{1}{2}bc\)
よって,\((a+b+c)r=bc\cdots(3)\)
また,\(R=kr\cdots(4)\)
(1)(4)より,\(R\)を消去すると,
\(a=2kr\cdots(1)'\)
(1)'(3)より,\(r\)を消去すると,
\((a+b+c)a=2kbc\cdots(3)'\)
(2)で\(a>0\)より,\(a=\sqrt{b^2+c^2}\)を(3)'に代入して整理すると,
\((b+c)\sqrt{b^2+c^2}=2kbc-(b^2+c^2)\)
これをさらに2乗して整理すると,
\(2bc((2k+1)b^2-2k^2bc+(2k+1)c^2)=0\)
ここで,\(b\neq 0\),\(c\neq 0\)より,
\((2k+1)b^2-2k^2bc+(2k+1)c^2=0\)
ここで,\(f(b)=(2k+1)b^2-2k^2bc+(2k+1)c^2\)と置く.
ここで,\(k>0\)より,
\(\displaystyle f(b)=(2k+1)(b-\frac{k^2}{2k+1}c)^2-\frac{(k+1)^2(k^2-2k-1)}{2k+1}c^2\)
\(b\)の取りうる範囲は\(0<b<a\)であるので,下に凸の二次関数\(f(b)\)において,軸の位置で場合分けをする.
①軸が\(0<\displaystyle \frac{k^2}{2k+1}<a\)である場合,
\(f(b)=0\)が解を持つには,最小値\(\displaystyle -\frac{(k+1)^2 (k^2-2k-1)}{2k+1}c^2\leqq 0\)が条件となる.
これより,\(k>0\)かつ\(k^2-2k-1\leqq 0\)から,\(k\geqq 1+\sqrt{2}\)
②軸が\(\displaystyle \frac{k^2}{2k+1}>a\)である場合,\(f(b)=0\)が解を持つには,\(f(0)\geqq 0\),\(f(a)\leqq 0\)が条件となる.
ここで,\(f(0)\)と\(f(a)\)の大きさを確認すると,\(f(0)=(2k+1)c^2\geqq 0\),\(f(a)=(2k+1)a^2\geqq 0\)(\(b=a,c=0\))となるため,\(f(b)=0\)が解は存在しない.
以上より,\(k\geqq 1+\sqrt{2}\)が答えとなる.