MATH

中級者

数学Ⅱ:式の証明

ヒント:※式の証明は基本的に与えられた式をいろいろと変形していけば答えに近づいていく.しかし,不等式はそうは行かず,かなり慣れていても解けない場合はよくある.一方,最大,最小の時は相加相乗平均を使う場合がよくあるから注意して式を見よう.

問題

(1)\(x+y+z=a\)…① \(x^{2}+y^{2}+z^{2}=a^{2}\)…② \(x^{3}+y^{3}+z^{3}=a^{3}\)…③ のとき \(x^{n}+y^{n}+z^{n}=a^{n}\)となることを示せ.(オリジナル)

(2)\(a^{3}+b^{3}+c^{3}=(a+b+c)^{3}\)のとき

\(n\)を奇数とすれば,\(\displaystyle \frac{1}{a^{n}}+\frac{1}{b^{n}}+\frac{1}{c^{n}}=\frac{1}{(a+b+c)^{n}}\)が成り立つことを示せ.(オリジナル)


(1)考え方 \(n=1,2,3\cdots\)としていけば数学的帰納法でできそうだなと考えるが,\(n\)次の式だから計算が面倒くさくなりそう.ここでは,1次式,2次式,3次式ときたら次の解答のようなことを考えよう.


② ⇔ \((x+y+z)^{2}-2(xy+yz+zx)=a^{2}\) ⇔ \(xy+yz+zx=0\)…④(∵①)

③ ⇔ \((x+y+z)(x^{2}+y^{2}+z^{2}=xy-yz-zx)+3xyz=a^{3}\) ⇔ \(xyz=0\)…⑤(∵①②)

①④⑤について,\(x,y,z\)を解に持つtの3次方程式は,

\((t−x)(t−y)(t−z)=0\) ⇔ \(t^{3}-(x+y+z)t^{2}+(xy+yz+zx)t-xyz=0\) ⇔ \(t^{3}-at^{2}=0\) ⇔ \(t=a,0\)

つまり,\(x,y,z\)のいずれか1つは\(a\)で他は0

よって \(x^{n}+y^{n}+z^{n}=a^{n}\)となる.


(2)考え方 このような問題を解くとき,条件の式を変形させてみると答えが分かるかも.


 \(a^{3}+b^{3}+c^{3}=(a+b+c)^{3}\) ⇔ \(3(a+b)(b+c)(c+a)=0\)

∴\(a=−b\) もしくは \(b=−c\) もしくは \(c=−a\)

よって\(a=−b\)のとき\(\displaystyle \frac{1}{a^{n}}+\frac{1}{b^{n}}+\frac{1}{c^{n}}=\frac{1}{c^{n}}\)(\(n\)が奇数のとき) \(\displaystyle \frac{1}{(a+b+c)^{n}}=\frac{1}{c^{n}}\) また,他の場合も成り立つ.よって題意は示された.