MATH

上級者

数学A:整数,数学Ⅰ:図形と計量

ヒント:オリジナル問題は考えられる場合を全て記述すれば解ける.参考入試問題は三角形の成立条件(三角不等式)と素数であることを利用せよ.

問題(オリジナル)
各辺が\(a,b,c\)の三角形\(ABC\)において,\(a+c=2b\)が成り立ち,三角形\(ABC\)のある角度が\(60^{\circ}\)の時,三角形\(ABC\)は正三角形になることを示せ.

解答
\(a+c=2b\cdots(1)\)に対して,\(a,b,c\)の大小関係を考えると,全ての場合として6パターン考えられる.
\(a<c<b,~c<a<b\)の時,\(a<b,~c<b\)より,\(a+c<2b\)
また,\(b<a<c,~b<c<a\)の時,\(b<a,~b<c\)より,\(2b<a+c\)
よって,残りのパターンである\(a\leqq b\leqq c\)もしくは,\(c\leqq b\leqq a\)を考える.
ここで\(a,c\)の対称性より,\(a\leqq c\)としてよい.
次に\(a\leqq b\leqq c\)より,\(\angle A\leqq\angle B\leqq\angle C\)
また,\(\angle A+\angle B+\angle C=180^{\circ}\)で,\(\angle 3A\leqq \angle A+\angle B+\angle C\leqq \angle 3C\)より,
\(\angle A\leqq 60^{\circ}\),\(\angle C\geqq 60^{\circ}\)となる.
よって,\(\angle B=60^{\circ}\)である.
ここで,余弦定理より,
\(a^2+c^2-2ac\cos60^{\circ}=b^2\)\(\Leftrightarrow\)\(a^2+c^2-ac=b^2\cdots(2)\)
\((1),(2)\)より,\(c\)を消去すると,\((a-b)^2=0\)
よって,\(a=b\)
これを\((1)\)に代入すると,\(a=c\)
以上より,全ての辺の長さが等しいことから,正三角形であることが示された.


参考入試問題
三角形\(ABC\)において,\(\angle B=60^{\circ}\),\(B\)の対辺の長さ\(b\)は整数,他の2辺の長さ\(a,c\)はいずれも素数である.このとき三角形\(ABC\)は正三角形であることを示せ.(1990京都大学)

解答
①辺の長さで示す.
\(a,c\)の対称性より,\(a\leqq c\)と考えてよい.さらに\(a\leqq c\)より,\(\angle A\leqq\angle C\)
また,\(\angle A+\angle C=120^{\circ}\)で,\(\angle 2A\leqq \angle A+\angle C\leqq \angle 2C\)より,\(\angle A\leqq 60^{\circ}\),\(\angle C\geqq 60^{\circ}\)となる.
よって,\(\angle A\leqq\angle B\leqq\angle C\)なので,\(a\leqq b\leqq c\)
余弦定理より,\(a^2+c^2-2ac\cos60^{\circ}=b^2\)\(\Leftrightarrow\)\((a+b)^2+ac=b^2\)\(\Leftrightarrow\)\((b+a-c)(b-a+c)=ac\)
ここで三角不等式より,\(b+a>c\),\(b+c>a\)\(\cdots(A)\)
また\(a\leqq c\)より,\(b+a-c\leqq b-a+c\)\(\cdots(B)\)である.
ここで,\(a,c\)は素数であることと,\((A),(B)\)から,組み合わせは\((b+a-c,b-a+c)\)\(=(1,ac),(a,c)\)である.
\((1)\) \((b+a-c,b-a+c)\)\(=(1,ac)\)の時,\(b\)を消去して,式変形すると,\((a-2)(c+2)=-3\)
これを満たす素数\(a,c\)は存在しない.
\((2)\) \((b+a-c,b-a+c)\)\(=(a,c)\)の時,\(a=b=c\)となる.
以上より,全ての辺の長さが等しいことから,三角形\(ABC\)は正三角形となる.

②角度で示す.
\(a,c\)の対称性より,\(a\leqq c\)と考えてよい.さらに\(a\leqq c\)より,\(\angle A\leqq\angle C\)
また,\(\angle A+\angle C=120^{\circ}\)で,\(\angle 2A\leqq \angle A+\angle C\leqq \angle 2C\)より,\(\angle A\leqq 60^{\circ}\),\(\angle C\geqq 60^{\circ}\)となる.
ここで,\(\angle A<60^{\circ}\)の時,\(\angle C>60^{\circ}\)より,\(\angle A<\angle B<\angle C\)なので,\(a<b<c\)となる.
また三角不等式より,\(a+b>c\)\(\Leftrightarrow\)\(c-b<a\)
また三角不等式より,\(b+c>a\)で\(a<b<c\)より,\(b+c<2a\)
また余弦定理より,\(a^2+c^2-2ac\cos60^{\circ}=b^2\)\(\Leftrightarrow\)\(a^2+c^2-ac=b^2\)\(\Leftrightarrow\)\(a(c-a)=(c+b)(c-b)\)
ここで\(a\)が素数なので,\(c+b\)もしくは\(c-b\)に\(a\)の因数を持つ必要があるが,\(c-b<a\),\(a<b+c<2a\)となるため,\(a\)の因数を持たない.
よって,\(\angle A<60^{\circ}\)は成立しない.
よって,残りの\(\angle A=60^{\circ}\)が答えとなり,この時\(\angle C=60^{\circ}\)となる,
よって全ての角度が等しいことから,三角形\(ABC\)は正三角形となる.