MATH

中級者

数学Ⅲ:積分法


ヒント:基本的な問題です.円筒分割積分(バウムクーヘン分割積分)を使う問題です.(ちなみにこれを発展させると,パップス=ギュルダンの定理が導けます.)

問題 
\(y=\displaystyle \frac{1}{\sqrt{x^{2}+1}}\)となるグラフに対し,\(0\leqq x\leqq\sqrt{3}\)の範囲で,\(y\)軸を軸として回転させたときにできる立体の体積を求めよ.(オリジナル)


解説
まず一般に\(y=f(x)\)を\(y\)軸で回転させたときにできる体積は\(0 \leqq a\leqq x\leqq b\)として,\(V=\displaystyle \int_{a}^{b}2\pi xf(x)dx\)となります.
この場合,これに当てはめて考えて見ましょう.すると\(V=\displaystyle \int_{0}^{\sqrt{3}}\frac{2\pi x}{\sqrt{x^{2}+1}}dx\)となります.よってこれを計算していくことになります.ここで積分計算するとき,分母に\(x^{2}+1\)が出てきたら,\(x=\tan\theta\)とおくと,計算できることがよくあります.次に範囲について求めると,\(x:0→\sqrt{3}\),\(\theta:0→\displaystyle \frac{\pi}{3}\),また,\(\cos2\theta dx=d\theta\)となり,よって次のように変形できます.
\(V=\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{3}}\frac{2\pi \tan\theta}{\cos\theta}d\theta\)
しかしこれでは容易に計算ができません.実は三角関数の式変形は,\(\displaystyle \tan\frac{\theta}{2}=t\)とおくと,\(t\)の有理関数にできるのです.ではやってみます.ここでは三角関数でやったと思うので省略しますが,\(\displaystyle \sin\theta=\frac{2t}{1+t^{2}}\),\(\displaystyle \cos\theta=\frac{1-t^{2}}{1+t^{2}}\)とおけて,
\(\theta:0→\displaystyle \frac{\pi}{3}\),\(t:0→\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}\),\(d\theta(t^{2}+1)=2dx\)となり,次のように変形できます.
\(V=\displaystyle \int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{3}}}\frac{8\pi t}{(1-t^{2})^{2}}dt\)
これをさらに変形すると,
\(V=2\displaystyle \pi\int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{3}}}\left(\frac{1}{(t-1)^{2}}-\frac{1}{(t+1)^{2}}\right)dt\)となり,計算して答えは\(2\pi\).


別解
\(V=\displaystyle \int_{0}^{\sqrt{3}}\frac{2\pi x}{\sqrt{x^{2}+1}}dx\)
\(x^{2}+1=t\)とおくと,\(x:0\rightarrow\sqrt{3}\),\(t:1\rightarrow 4\),\(2xdx=dt\)
よって\(V=\displaystyle \int_{1}^{4}\frac{\pi}{\sqrt{t}}dt=2\pi\)

別解2
\(\sqrt{x^{2}+1}=t\)とおくと,\(x:0\rightarrow\sqrt{3}\),\(t:1\rightarrow 2\),\(dt\sqrt{x^{2}+1}=xdx\)
よって,\(V=\displaystyle \int_{1}^{2}2\pi\) \(dt=2\pi\)


注意
このときはどの方法が正解かはない.計算問題を多くやっていってカンをつけていくしかない.