中級者
数学A:論理
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〇必要十分条件は式変形の際に重要になる.特に論述では,必要十分性が示されていないと点数がかなり引かれる場合があるので注意する必要がある.
問題
(A) 次の命題の真偽を判定し,偽の場合は判例を挙げよ.
(1) \(ab>0\)ならば\(a>0\)かつ\(b>0\)である.
(2) \(a\geqq b\)かつ\(b\geqq a\)ならば\(a=b\)である.
(B) 次は必要条件,十分条件,必要十分条件のいずれであるか.
\(x,y,z\)を実数とする.
(1) \(x>1,y>2\)は,\(x+y>3,xy>2\)であるための□
(2) \(xz=yz\)は,\(x=y\)であるための□
(3) \(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx=0\)は,\(x=y=z\)であるための□.
(4) \(x^2+y^2+z^2=0\)は,\(x+y+z=0\)かつ\(xy+yz+zx=0\)であるための□.
解答
(A)
(1) 偽 \((a=-1,b=-2)\)
(2) 真
(B)
(1) \(x>1,y>2\) \(\Rightarrow\) \(x+y>3,xy>2\) \(\Leftarrow\)は\(\displaystyle x=\frac{3}{2},y=2\)は反例となる.よって,十分条件
(2) \(xz=yz\) \(\Rightarrow\) \(x=y\) or \(z=0\)なので,\(z=0\)の場合が成り立たない.一方で,\(x=y\) \(\Rightarrow\) \(xz=yz\)は成立する.よって,必要条件
(3) \(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx=0\) \(\Leftrightarrow\) \((x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2=0\) \(\Leftrightarrow\) \(x=y=z\) なので,必要十分条件
(4) \(x^2+y^2+z^2=0\) \(\Rightarrow\) \(x=y=z=0\) また,\(x=y=z=0\) \(\Rightarrow\) \(x^2+y^2+z^2=0\)なので,必要十分条件
参考入試問題
実数\(c\)に関する次の条件\((A)\)を考える.
\((A)\) \(|c|\leqq 2\)
以下の(1)から(6)の\(c\)に関する条件は,それぞれ上の条件\((A)\)が成り立つための
(a)必要条件であるが,十分条件ではない
(b)十分条件であるが,必要条件ではない
(c)必要十分条件である
(d)必要条件でも十分条件でもない
のいずれであるか.
(1)\(c\leqq 2\)
(2)\(c^2-2\leqq 0\)
(3)すべての実数\(x\)に対して\(x^4-c\geqq 0\)
(4)ある実数\(x\)があり,\((x-1)^2+c^2\leqq 4\)となる
(5)\(x<1\)ならば,\(cx<2\)
(6)\(x\)の2次方程式\(x^2+cx+1=0\)は実数解を持たない(02お茶の水大)
解答
\((A)\) \(-2\leqq c \leqq 2\)である.
(1)(a) (\((A)\) \(\Rightarrow\) \(c\leqq 2\)は成立するが,逆は成立しない)
(2)(b) (\(c^2-2\leqq 0\) \(\Rightarrow\) \((A)\)は成立するが,逆は成立しない)
(3)(d) (\(x=3\)では全くとも成立しない)
(4)(c) (\(x=1\)ならば,\((A)\)と(4)は同値変形可能)
(5)(b) (\((A)\) \(\Rightarrow\) ”\(x<1\)ならば,\(cx<2\)”は成立するが,逆は成立しない)
(6)(b) (\(x\)の2次方程式\(x^2+cx+1=0\)は実数解を持たない \(\Leftrightarrow\) \(c^2<4\) よって,内容は(2)と同じ)