中級者
数学A:確率
-
ヒント:\(n\)回目の確率が\(n-1\)回目の確率と関係するとき,漸化式を立てることを考えよう.
問題
1,2,3のカードが入った箱がある.\(n\)回カードを引いたときに,\(1,\cdots,n\)回目のカードの和が2の倍数になる確率を求めよ.(オリジナル)
解説
\(n+1\)回目までの和が2の倍数の時の確率を\(p_{n+1}\)と表す時,
\(n\)回目までの和が2の倍数の時の確率は\(p_{n}\)となる.
一方で,\(n\)回目までの和が2の倍数でない確率は\(1-p_{n}\)である.
また,\(n\)回目までの和が2の倍数の時,\(n+1\)回目が2の倍数になるには2のカードを引く必要がある.その確率は\(\displaystyle \frac{1}{3}\)である.
一方で,\(n\)回目までの和が2の倍数でない時,\(n\)回目が2の倍数になるには,1,3のカードを引く必要がある.その確率は\(\displaystyle \frac{2}{3}\)である.
よって,\(\displaystyle p_{n+1}=\frac{1}{3}p_{n}+\frac{2}{3}(1-p_{n})\) \(\Leftrightarrow\) \(\displaystyle p_{n+1}-\frac{1}{2}=-\frac{1}{3}\left(p_{n}-\frac{1}{2}\right)\)
漸化式を解くと,\(\displaystyle p_{n}-\frac{1}{2}=\left(-\frac{1}{3}\right)^{n-1}\left(p_{1}-\frac{1}{2}\right)\)\(p_{1}=\displaystyle \frac{1}{3}\)より,\(p_{n}=\displaystyle \frac{1}{2}-\frac{1}{6}\left(-\frac{1}{3}\right)^{n-1}\)
\(n\)回目と\(n+1\)回目の対応
直線上に赤と白の旗を持った何人かが,番号\(0,1,2,…\)をつけて並んでいる.番号0の人は,赤と白を等しい確率で無作為に上げるものとし,他の番号\(j\)の人は,番号\(j−1\)の人のあげた旗の色を見て,確率\(p\)で同じ色,確率\(1−p\)で異なる色の旗をあげるものとする.このとき,番号0の人と番号\(n\)の人が同じ色の旗をあげる確率\(P_{n}\)を求めよ.(1983 東大)
考え方 0と\(n\)が同じ確率が\(p_{n}\)とおかれているので,0と\(n+1\)が同じ確率は\(p_{n+1}\)となる.そして,\(n\rightarrow n+1\)になるときにはどうなるのかを考えればよい.確率漸化式と呼ばれるもので,ある程度のレベルの大学で出題されることがある.
図から\(p_{n+1}=p_{n}\times p+(1-p_{n})(1-p)\)…①
\(1-p_{n+1}=p_{n}\times(1-p)+(1-p_{n})\times p\)…②
(①と②は実は同じなので,①だけを考える.)
① ⇔ \(p_{n+1}=(2p-1)p_{n}+1-p\)…③
ここで数列の等比数列型に変形すると
\(p_{n+1}+a=(2p-1)(p_{n}+a)\Leftrightarrow p_{n+1}=(2p-1)p_{n}+2(p-1)a\)…④
③,④の係数を比較すると,\(2(p-1)a=1-p\displaystyle \Leftrightarrow a=-\frac{1}{2}\)
∴\(p_{n+1}-\displaystyle \frac{1}{2}=(2p-1)\left(p_{n}-\frac{1}{2}\right)\Leftrightarrow p_{n}-\frac{1}{2}=(2p-1)^{n}\left(p_{0}-\frac{1}{2}\right)\)
ここで,\(p_{0}\)において番号0=番号0より\(p_{0}=1\)
∴\(p_{n}=\displaystyle \frac{1}{2}(2p-1)^{n}+\frac{1}{2}\)