MATH

中級者

数学Ⅰ:二次関数

ヒント:1.二次関数と直線の問題については,交点を文字で置いてから範囲を考慮しながらその文字を消していくという方法を取ると,スムーズに問題が解ける.交点を無理やり2次方程式の解で求めると煩雑になるのでやめよう.

問題

放物線\(y=x^2+ax+b\)と直線\(y=bx+a\)に関して,交点\(PQ\)の長さ\(|PQ|=\sqrt{5(1+b^{2})}\)であるとき,\(a\)と\(b\)の関係を求めよ.(オリジナル)


解答

\(y=x^2+ax+b\cdots\)①,\(y=bx+a\cdots\)②の交点の\(x\)座標を\(\alpha,\beta\) \((\alpha>\beta)\)とすると,

①,②で\(y\)を消去した時の\(x\)の解が交点の\(x\)座標になるため,\(x^2+(a-b)x+(b-a)=(x-\alpha)(x-\beta)=0\)

よって,\((a-b)=-(\alpha+\beta)\cdots\)③, \((b-a)=\alpha\beta\cdots\)④

また長さ\(|PQ|\)について,\(PQ\)の傾きが\(b\),\(x\)方向の長さが\(\alpha-\beta\)であるため,

\(|PQ|=\sqrt{1+b^{2}}(\alpha-\beta)=\sqrt{5(1+b^{2})}\) \(\Leftrightarrow\) \(\alpha-\beta=\sqrt{5}\cdots\)⑤

ここで③⑤より,\(\beta\)を消去すると,\(2\alpha=-(a-b)+\sqrt{5}\)

また④⑤より,\(\beta\)を消去すると,\(\alpha(\alpha-\sqrt{5})=(b-a)\)

両式から\(\alpha\)を消去すると,\(\{-(a-b)+\sqrt{5}\}\{-(a-b)-\sqrt{5}\}=4(b-a)\) \(\Leftrightarrow\) \((a-b)^{2}+4(a-b)-5=0\) \(\Leftrightarrow\) \((a-b+5)(a-b-1)=0\)

よって,\(a-b=-5\) or \(a-b=1\)



参考入試問題

(01 一橋大)

放物線\(y=x^{2}\)上に,直線\(y=ax+1\)に関して対称な位置にある異なる2点\(P,Q\)が存在するような\(a\)の値の範囲を求めよ.


解説

こういう問題は非常に出やすいので,覚えておくこと.重要なのは解答にある①,②のことである.


解答

点\(P,Q\)は放物線上にあるので,\(P(p,p^{2}),~Q(q,q^{2})\)とおける.\((p≠q)\)

ここで条件は2つある.

①直線\(PQ\)が直線\(y=ax+1\)と垂直に交わる.

②点\(P,Q\)の中点が直線\(y=ax+1\)の上にある.


①について

直線\(PQ\)の傾きは\(\displaystyle \frac{p^{2}-q^{2}}{p-q}=p+q\)である.よって\((p+q)a=-1\)…①


②について

点\(P,Q\)の中点は\(\left(\displaystyle \frac{p+q}{2},\frac{p^{2}+q^{2}}{2}\right)\)である.よって\(\displaystyle \frac{p^{2}+q^{2}}{2}=a\frac{p+q}{2}+1\)…②

次に考えることは\(aの\)存在範囲を考えるのに,文字を減らすことである.

文字を減らす方法は2つある.


1つ目の方法

①,②から\(q\)を消去すると,\(2a^{2}p^{2}+2ap+1-a^{2}=0\) \((a≠0)\)

ここで,\(p\)の範囲を考えると,実数全体を動く.よって,上の式が成り立つ条件は判別式\(D≧0\)

\(D/4=a^{2}-2a^{2}(1-a^{2})=a^{2}(2a^{2}-1)\geqq 0\)

また,\(a=0\)の時は成り立たない.

ここで,\(p\neq q\)が条件であるので,\(p=q\)の時,\(a\)の値は\(a=\displaystyle \pm\frac{1}{\sqrt{2}}\)

これより,\(a>\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}},a<-\frac{1}{\sqrt{2}}\)


2つ目の方法

ここで,①,②を見ると,対称式となっている.


☆対称式とは

文字を入れ替えても式自体が変わらない式のこと.ここでは\(p,q\)を入れ変えても式は変わらない.

2つの文字の対称式の場合,式を\(p+q,~pq\)の形で表せる.→この形は解と係数の関係が使える!


よって①から\(a≠0\)のとき,\(p+q=-\displaystyle \frac{1}{a}\)…③
②から\((p+q)^{2}-2pq=a(p+q)+2\displaystyle \Leftrightarrow pq=\frac{1-a^{2}}{2a^{2}}\)…④

これより,解と係数の関係から\(p,q\)は\(t^{2}+\displaystyle \frac{1}{a}t+\frac{1-a^{2}}{2a^{2}}=0\)の異なる2つの実数解となる.(この式は実は1つ目でやった式と同じである.しかし,判別式\(D>0\)である.)

また\(a=0\)の時は成り立たない.答えは\(a>\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}},a<-\frac{1}{\sqrt{2}}\)