MATH

中級者

数学B:数列

ヒント:等差数列と等比数列の条件をそのまま書き下して式変形していけば解けます.

問題
ここに3つの異なる数があるとする.それを小さい順に並べた時に等比数列をなしており,さらに2つの差が正となるように差を求め,その差を小さい順に並べると等差数列となっている.最も小さい値を\(a\)としたとき,3つの数を求めよ.(オリジナル)

解答
3つの異なる数を小さい順から\(a,b,c\)とおくと,等比数列の条件から\(ac=b^{2}\)…①
さらに差を求めた時に小さい順に並べると,考えられる順番として,(A)\(b-a,c-b,c-a\),(B)\(c-b,b-a,c-a\)が挙げられる.
(A)等差数列の条件から\((b-a)+(c-a)=2(c-b)\)⇔\(3b-2a=c\)…②
①②より\((b-2a)(b-a)=0\)
\(a\neq b\)より,\(b=2a\)となる.これを②に代入すれば\(c=4a\)
(B)等差数列の条件から\((c-b)+(c-a)=2(b-a)\)⇔\(3b-2c=a\)…③
①③より\((b-2c)(b-c)=0\)
\(b\neq c\)より,\(b=2c\)となる.ただし,これは\(b<c\)の条件に反するので不適.
これより求める値は\(a,2a,4a\)となる.


参考入試問題
\(\alpha\),\(\beta\),\(\gamma\)がこの順に等差数列であり,\(\sin \alpha\),\(\sin \beta\),\(\sin \gamma\)がこの順に等比数列であるのはどのようなときか.(1975 京都大学)


解答
\(\alpha\),\(\beta\),\(\gamma\)が等差数列であるため,公差を\(d\)とおくと,
\(\alpha=\beta-d\),\(\gamma=\beta+d\)が成り立つ.
また,\(\sin \alpha\),\(\sin \beta\),\(\sin \gamma\)が等比数列であるため,
\(\sin^{2}\beta=\sin \alpha \sin \gamma\)が成り立つ.
よって,\(\sin^{2} \beta=\sin(\beta−d)\sin(\beta+d)\)となる.
次に加法定理より,
\(\sin(\beta−d)\sin(\beta+d)\)\(=(\sin\beta\cos d−\cos\beta\sin d)(\sin\beta\cos d+\cos\beta\sin d)\)\(=\sin^{2}\beta\cos^{2} d-\cos^{2}\beta\sin^{2} d\)
よって,\(\sin^{2}\beta\)\(=\sin^{2}\beta\cos^{2} d-\cos^{2}\beta\sin^{2} d\)
ここで,\(\sin^{2} x+\cos^{2} x=1\)を使って式変形すると,
\(\sin^{2}\beta\)\(=\sin^{2}\beta\cos^{2} d-(1-\sin^{2}\beta)\sin^{2} d\)\(=-\sin^{2} d+\sin^{2}\beta(\sin^{2} d+\cos^{2} d)\)\(=-\sin^{2} d+\sin^{2}\beta\)
よって,\(\sin d=0\)
よって,公差は\(d=n\pi\)(\(n\)は整数)
また,\(\beta=\alpha+d=\alpha+n\pi\)
\(\gamma=\alpha+2d=\alpha+2n\pi\)
\(\sin \beta\)\(=(−1)^{n} \sin \alpha\)
\(\sin \gamma\)\(=\sin \alpha\)
よって,公比は\((−1)^{n}\)
以上より,\(\alpha\),\(\beta\),\(\gamma\)は,初項\(\alpha\), 公差\(n\pi\)(\(n\)は整数)の等差数列
\(\sin \alpha\),\(\sin \beta\),\(\sin \gamma\)は初項\(\sin \alpha\),公比1(\(n\)が偶数の時) or -1(\(n\)が奇数の時)の等比数列となる.