上級者
数学B:ベクトル
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ヒント:ベクトルを扱ってますが,数式をうまく変形できることが大事になってきます.
問題(オリジナル)
三角形\(ABC\)において,\(BC=a\),\(CA=b\),\(AB=c\),\(\displaystyle \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=p\),\(\displaystyle \overrightarrow{BA}\cdot\overrightarrow{BC}=q\),\(\displaystyle \overrightarrow{CA}\cdot\overrightarrow{CB}=r\)とした時に次の問いに答えよ.
(i)三角形\(ABC\)の各辺の長さは整数,\(p\)は素数,\(r=k^2\),\(k\)は正の整数の時,\(p\)が最小となる時の\(p,q,r\)を求めよ.
(ii)\(4(p^2+q^2+r^2)\)\(\geqq a^4+b^4+c^4\)が成立することを示せ.また,等号成立する場合の\(a,b,c\)の条件を求めよ.
解答
条件の内積より,
\(bc\cos\angle A=p\)
\(ca\cos\angle B=q\)
\(ab\cos\angle C=r\)
また余弦定理より,
\(a^2=b^2+c^2-2bc\cos\angle A\)
\(b^2=c^2+a^2-2ca\cos\angle B\)
\(c^2=a^2+b^2-2ab\cos\angle C\)
上式を整理すると,
\(a^2=q+r\cdots(1)\)
\(b^2=r+p\cdots(2)\)
\(c^2=p+q\cdots(3)\)
(i)
\(r=k^2\)を\((2)\)に代入して式変形すると,\((b+k)(b-k)=p\)
\(p\)が素数,\(b+k>0\)より,\(b+k=p\),\(b-k=1\)が成り立つ.
よって,\(b=k+1\),\(p=2k+1\)
また,\((1)-(3)\)より,
\(a^2-c^2=r-p\)\(\Leftrightarrow\)\((a+c)(a-c)=k^2-2k-1\)
ここで,\(p\)が素数である条件を考えると,\(k=1,2,3,5,6,\cdots\)となる.
また,\(a,c\)が整数であることから,\(a+c,a-c\)の偶奇が一致する必要がある.よって,\(k^2-2k-1\)の因数を確認して,成り立つ最小の\(k\)を求めればよい.
\(k=1\)の時,\(k^2-2k-1=-2\)で,因数の組は\((\pm1,\mp2)\)なので×
\(k=2\)の時,\(k^2-2k-1=-1\)で,因数の組は\((-1,1)\)なので×
\(k=3\)の時,\(k^2-2k-1=2\)で,因数の組は\((1,2)\)なので×
\(k=5\)の時,\(k^2-2k-1=14\)で,因数の組は\((1,14),(2,7)\)なので×
\(k=6\)の時,\(k^2-2k-1=23\)で,因数の組は\((1,23)\)なので〇
この時,\((a,c)\)\(=(12,11)\)で,\((p,q,r)\)\(=(13,108,36)\)
(ii)
\((1)+(2)+(3)\)より,
\(a^4+b^4+c^4=(q+r)^2+(r+p)^2+(p+q)^2\)
よって,\(4(p^2+q^2+r^2)-(a^4+b^4+c^4)\)\(=(p-q)^2+(q-r)^2+(r-p)^2\geqq 0\)
等号成立は\(p=q=r\)で\(a=b=c\).つまり三角形は正三角形となる.