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ヒント:(B)については,\(a\)の実数の範囲を求める場合,\(b,c,d\)が実数である条件を考え,その条件内で\(a\)がどの実数範囲をとるかを考えればよい.二次方程式の判別式を利用しよう.(3次方程式の実数解の場合の判別については,こちらを参考にしてください)
問題(オリジナル)
\(P(x)=ax^3+bx^2+cx+d\)において,\(a\neq 0\),\(P(a)=0\),\(P(b)=0\),\(P(c)=0\)となる時,
(A)\(d=0\)の時,\(a,b,c\)を求めよ.
(B)\(a,b,c,d\)が実数で,\(a>0\)の時,\(a\)の取りうる範囲を求めよ.
解答
\(P(x)=a(x-a)(x-b)(x-c)\)と置くことができる.
\(P(x)=ax^3+bx^2+cx+d\)と係数を比較すると,
\(-(a+b+c)a=b\cdots(1)\)
\((ab+bc+ca)a=c\cdots(2)\)
\(-a^2bc=d\cdots(3)\)
また,\(a\neq 0\cdots(4)\)
(A)
(3)において,\(a^2bc=0\)となるが,(4)より\(b=0\)もしくは\(c=0\)となる.
(i)\(b=0\)のとき,
(1)より,\(a(a+c)=0\)となるが,(4)より,\(a=-c\)となる.
(2)より,\(c(a^2-1)=0\)となるが,\(a=-c\)と(4)より,\(c\neq 0\)なので,
\(a=\pm 1\),また\(a=-c\)より,\(c=\mp 1\)
(ii)\(c=0\)のとき
(2)より,\(a^2b=0\)となるが,(4)より\(b=0\)となる.
これと(1)より,\(a=0\)となるが,(4)の条件に反するため,この場合の解はない.
以上より,\((a,b,c)\)\(=(\pm 1,0,\mp 1)\)
(B)
\(a\)の実数の範囲を求める場合,\(b,c,d\)が実数である条件を考え,その条件内で\(a\)がどの実数範囲をとるかを考えればよい.
まず\(b,c\)については,\(b,c\)は対称性があることから,\(b\)のみを考えればよい.
よって,\(b\)が実数である条件を考え,\(b\)を\(a\)で置き換えた時の\(a\)の範囲を考えればよい.
(1)より,\(\displaystyle c=-\frac{a^2+ab+b}{a}\cdots(1)'\)
(2)より,\(\displaystyle c(a^2+ab-1)+a^2b=0\cdots(2)'\)
(1)',(2)'より\(c\)を消去して整理すると,
\(a(a+1)b^2+(a+1)^2(a-1)b+a^2(a+1)(a-1)=0\)
ここで,\(b\)が実数である条件は,\(b\)の二次方程式の判別式\(D\geqq 0\)である.
よって,\(D=(a+1)^4(a-1)^2-4a^4(a+1)^3(a-1)\)\(=(a+1)^2(a-1)(-3a^3+a^2-a-1)\)
ここで,\(a>0\)の時,\(-3a^3+a^2-a-1<0\)である(\(a=0\)で左辺=-1,\(a>0\)で左辺は単調減少)ため,\(D\geqq 0\)\(\Leftrightarrow\)\((a+1)^2(a-1)\leqq 0\)\(\Leftrightarrow\)\(a\leqq 1\),\(a=-1\)
\(a>0\)より,\(0<a\leqq 1\)
次に(3)より,\(d\)が実数である条件は,\(a^2bc\)が実数であることが必要であるが,先に求めた\(a\)の範囲で,\(a^2bc\)が実数であることを満たしているため,特に検討する必要はない.
以上より,\(0<a\leqq 1\)が答えとなる.
※\(c\)の実数の範囲を考えても,\(b\)と全く同じ結果になる.
(1)より,\(\displaystyle b=-\frac{a(a+c)}{a+1}\cdots(1)''\)
(2)より,\(\displaystyle a(a+c)b=c(1+a)(1-a)\cdots(2)''\)
(1)'',(2)''より\(b\)を消去して整理すると,
\(a^2c^2+(a^3-a^2+a+1)c+a^4=0\)
ここで,\(c\)が実数である条件は,\(c\)の二次方程式の判別式\(D\geqq 0\)である.
よって,\(D=(a^3-a^2+a+1)^2-4a^6\)\(=(a+1)^2(a-1)(-3a^3+a^2-a-1)\)
ここで,\(a>0\)の時,\(-3a^3+a^2-a-1<0\)であるため,\(D\geqq 0\)\(\Leftrightarrow\)\((a+1)^2(a-1)\leqq 0\)\(\Leftrightarrow\)\(a\leqq 1\),\(a=-1\)
※もし,\(a>0\)の条件がない場合,\(a\)の取りうる範囲は複雑となる.
\(-3a^3+a^2-a-1=0\)はただ1つの実数解を取るが,それを\(a=\alpha\)とすると,
\(a=-1\),\(\alpha<a<0\),\(0<a\leqq 1\)が答えとなる.